フレンチブルドッグはパリの「夜の街」から人気が広がった

フレンチブルドッグといえば「おしゃれ」「パリっぽい」というイメージがありませんか?
実はそのイメージ、19世紀末のパリで本当に作られたものなんです。しかもフレンチブルドッグを最初に愛したのは、意外な人たちでした。
フレンチブルドッグを最初に愛したのは「夜の街の女性たち」
19世紀後半、イギリスからフランスに渡ったフレンチブルドッグの祖先たち。パリで最初に人気が出たのは、モンマルトルの歓楽街でした。
当時のモンマルトルには多くの歓楽街があり、そこで働く女性たちがフレンチブルドッグを好んで飼っていました。小柄でかわいらしいフレンチブルドッグは、お客さんとの会話のきっかけになる最高のパートナーだったのです。
この結びつきはあまりにも強く、当時のポストカードにはフレンチブルドッグと一緒にポーズをとる女性たちの姿が数多く残されています。
画家ロートレックが描いた「ブブール」
モンマルトルの夜を描いた画家といえば、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック。ポスト印象派を代表するこの画家が描いた犬のなかで、もっとも有名なのが「ブブール(Bouboule)」というフレンチブルドッグです。
ブブールは、モンマルトルの有名カフェ「ラ・スーリ(ねずみ)」のオーナー、マダム・パルミールの愛犬でした。
このブブール、なかなかの曲者で、なでようとするお客さんの足首にオシッコをかけることで有名だったとか。なんともフレンチブルドッグらしいマイペースぶりです。
ちなみにマダム・パルミール本人も「ブルドッグのような険しい顔つきだが、実はとても心優しい女性」と描写されており、飼い主と犬の雰囲気がそっくりだったようです。
庶民の犬から社交界のアイコンへ
ロートレックやドガといった芸術家たちがフレンチブルドッグを作品に描いたことで、上流階級の目にも留まるようになります。
モンマルトルの歓楽街から始まったフレンチブルドッグ人気は、こんなルートで広がっていきました。
- 歓楽街の女性たちが愛玩犬として飼い始める
- 芸術家たちが絵画やポスターに描いて注目を集める
- パリの上流階級がファッションとして取り入れる
- アメリカの富裕層がパリ旅行で見つけて持ち帰る
社会の底辺から芸術の世界を経て上流階級へ…… フレンチブルドッグの歩んだ道は、まさにシンデレラストーリーです。
「フレンチ」ブルドッグなのにフランス生まれじゃない
ここでもうひとつトリビアを。「フレンチ」ブルドッグという名前ですが、実はフランス生まれではありません。
もともとはイギリス・ノッティンガムのレース職人たちが飼っていた小型のブルドッグが原型です。産業革命で職を失った職人たちがフランスに渡り、一緒に連れていった犬がフランスで独自に発展して「フレンチブルドッグ」と呼ばれるようになりました。
つまりフレンチブルドッグは、イギリス生まれ・フランス育ち・アメリカで大ブレイクという、なかなかグローバルな犬種なのです。
まとめ
- フレンチブルドッグをパリで最初に愛したのは、モンマルトルの歓楽街の女性たち
- 画家ロートレックが描いた「ブブール」は、お客の足にオシッコをかける名物犬だった
- 芸術家の作品を通じて上流階級に広まり、社交界のアイコンに
- 「フレンチ」ブルドッグだけど、実はイギリス生まれ
いまフレンチブルドッグが「おしゃれな犬」というイメージを持たれているのは、130年以上前のパリの夜の街から始まった物語の延長線上にあるのです。

