タイタニック号にもフレンチブルドッグが乗っていた?300万円のチャンピオン犬の悲劇

タイタニック号にもフレブルが乗っていた?歴史に残るフレブルエピソード

1912年に沈没した豪華客船タイタニック号。実はこの船に、1頭のフレンチブルドッグが乗っていたことをご存知ですか?

現在の価値で300万円以上もしたチャンピオン犬の運命と、沈没をめぐる知られざるエピソードを紹介します。

チャンピオン犬「ガミン・ド・ピコム」

タイタニック号には少なくとも12頭の犬が乗船していました。そのなかの1頭が、ガミン・ド・ピコム(Gamin de Pycombe)という名のフレンチブルドッグです。

飼い主は27歳のアメリカ人銀行家ロバート・ウィリアムズ・ダニエル。彼はイギリスでこのフレンチブルドッグを150ポンド(現在の日本円でおよそ300万円以上)という破格の値段で購入し、アメリカに連れて帰る途中でした。

ガミンは1910年1月生まれで、沈没時はまだ2歳。父犬はイギリス初のパイド・チャンピオンとなった名犬で、血統的にも超一流のフレンチブルドッグでした。

氷山衝突の夜 – 目撃者の証言

ガミンは犬舎ではなくダニエルの客室に滞在していたと伝えられています。

同じ廊下に泊まっていた乗客エディス・ラッセルは、1966年のインタビューで当時をこう振り返っています。

「廊下を歩いていると、犬が怯えて鳴いているのが聞こえた。部屋に入って犬をなだめ、ベッドに寝かせた。犬はとても従順で、ドアを閉めるとき甘い目でじっと見つめていた。あれほどの危険が迫っているとは知らなかった。知っていれば、連れて行ったのに」

その後、沈没の混乱のなかで誰かが犬舎の犬たちを解放。傾く甲板を犬たちが走り回ったと記録されています。別の生存者は、海の中を必死に泳ぐフレンチブルドッグの姿を目撃したと証言しました。

しかしフレンチブルドッグは体の構造上、泳ぎが非常に苦手。頭が重く、鼻が短く、足も短い──冷たい大西洋で生き延びることは不可能でした。

飼い主のダニエルは救命ボート6号で脱出し生還。後にガミンの損失に対して750ドルの補償を請求しています。ちなみにダニエルは、その救命ボートの中で未来の妻と出会ったそうです。

映画『タイタニック』にもフレンチブルドッグが映っている

ジェームズ・キャメロン監督の映画『タイタニック』(1997年)をよく見ると、乗船シーンでフレンチブルドッグが歩いている姿が確認できます。

実は沈没中に犬たちが泳ぐシーンも撮影されていたそうですが、最終的にカット。人が溺れるシーンは受け入れられても、犬が溺れるシーンは観客にとって耐えがたいと判断されたためと言われています。

沈没5日後にフレンチブルドッグ品評会が開催されていた

もうひとつ驚きのエピソードがあります。

タイタニック号が沈没したわずか5日後の1912年4月20日、ニューヨークでフレンチブルドッグ・ナショナル・スペシャルティ(全米規模の品評会)が開催されていました。

審査員のひとりサミュエル・ゴールデンバーグは、なんとタイタニック号の生存者。もともとこの審査のためにシェルブールから乗船していた人物です。救助船で4月18日にニューヨークに到着し、わずか1日の休息で審査に臨みました。

ゴールデンバーグ自身も著名なフレンチブルドッグブリーダーで、1904年にアメリカに輸入した犬は「アメリカにおけるフレンチブルドッグの礎」と評されています。

まとめ

  • タイタニック号にはフレンチブルドッグのチャンピオン犬「ガミン・ド・ピコム」が乗船していた
  • 購入価格は150ポンド(現在の300万円以上)
  • 生存者の証言で、沈没後に海を泳ぐ姿が目撃されている
  • 映画『タイタニック』の乗船シーンにもフレンチブルドッグが登場
  • 沈没5日後のフレンチブルドッグ品評会には、タイタニック生存者が審査員として参加していた

100年以上前の大西洋で命を落としたガミン。フレンチブルドッグの歴史に刻まれた、忘れてはならないエピソードです。